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パレスチナゼミでグループ翻訳している作品を
こちらに載せます。

作者のサナアッラーフ・イブラーヒーム氏は
エジプトでは名の知られた小説家さん。
民衆の受ける抑圧や貧富の差を描き、
10年投獄された経験も持っています。

日本語訳はまだ出回ってません。
これは皆が訳して先生が直したものを、私なりに意訳したもの。
レバノン内戦に関するフィクション小説で、
主人公はレバノン内戦に関する映画の撮影を依頼される、という設定。



翻訳って本当に大変なんですよ。
そんな訳で我々の苦労は正当な形で報われてほしい。
(だから実は私は翻訳ボランティア嫌い)
無断転載はしないで下さい。
著作権の問題については私よく知らないので、身内だけで。
リンク貼るのは構いません。

以降、無断転載厳禁―――
ベイルート・ベイルート
サナアッラーフ・イブラーヒーム著



 僕は2回、取調べを受けた。1回目は税関で。2回目は空港の中の、駐機場に至るゲートの前で。2回の間に、僕の革の手持ち鞄は、僕と一緒にX線検査回路と金属ゲートを通過した。連中の一人が飛行機のゲートのところで僕を待ち構えていて、僕の脇の下と腿の間を手で検査し、手持ち鞄と免税店の袋の中を探った。そしてようやく、僕は飛行機に乗ることを許された。
 僕は最初に見つけた空席の横で立ち止まり、そして免税店の袋を、天井に固定された金属の棚に預けた。そして鞄を床の足の間に置いた後で、席に腰を下ろした。
 一つの空席が、僕を午後の弱々しい光の差し込むガラス窓から隔てていた。窓からはここがカイロ空港であることを告げる看板が見えた。僕は席でくつろぎ、足を前の座席の下に伸ばしたが、すぐに両足を脇にどけて、白のジルバーブに身を包み僕の隣に座ろうとするある一人の乗客のために道をあけた。僕は目の片隅で、彼の両肩に垂れ下がる頭の布をちらっと見た。
 僕は、彼が大きくため息をつきながら僕に話しかけてくるのを聞いた。
「まったく、奴らは人のことをテロリストかフェダーイーンみたいな扱いをしやがる」
 でも僕はシートベルトを腰に付けることに没頭していて、返事をしようとはしなかった。
 飛行機は暫くのあとに人で一杯になった。壁のあちこちに、ガラビーヤだの田舎風の重い服だのが広がり、その上には恐れと不安を物語る茶色い顔が乗っかっていた。僕の両目は、何人かのヨーロッパ風のお洒落な服を着ている人々を捕らえた。彼らは自分の目を黒っぽいサングラスの奥に隠し、彼らの膝の上には丈夫なサムソナイトの鞄が乗っていた。中には少ないけれど女性も居て、柔肌をさらけ出した腕で宝石や靴の箱に似た鞄を持っていた。彼女達の中には農民は一人も居なかった。
 ついに飛行機は飛び立ち、僕の隣人は聞こえる程の声で呟いていた祈りを終えた。少し後に禁煙を促すサインが消え、機長の声が聞こえてきた。彼は自己紹介をし、速度、高度、ベイルートから僕らを隔てる所要時間についてアナウンスをした。
 僕はシートベルトを緩め、ポケットからエジプト製のタバコを出し、火をつけた。しかし僕は1吸い目から、タバコに空いた沢山の穴から煙が漏れるのに気がついた。そこでタバコを座席についている灰皿で消し、暫くの間タバコを吸うのを先延ばしにして、ガンにかかる可能性を少し減らすことにした。






注)
1970~80sの中東の空港はセキュリティチェックが厳しい。
今でも厳しい、とは現地を飛行機で旅行したみおの言。
いやぁ、私陸路だったからわかんない。

白のジルバーブ、頭のクーフィーヤという布は
サウジ人を連想させる表現。
アラブ人の闘争(フェダーイーン)を他人事と感じ
自分の受けた扱いに腹を立てていることからも分かる。

ムスリムは旅行の時にお祈りをしたりする。
飛行機って怖いしなぁ。

エジプト製のタバコは質が悪い。
タバコの横に穴が空いていたりして、
煙が全部出て行っちゃう。
マトモに吸えたもんじゃないのです。
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